再びモスクと化したアヤソフィア
東西文明の交差点
2020年7月10日にトルコのエルドアン大統領がアヤソフィアをイスラム教のモスクに変更すると発表し、日本でも何かと話題になっているアヤソフィアに行ったので紹介します。
アヤソフィアにまつわる面白い歴史
アヤソフィアは宗教的にとても興味深い場所です。アヤソフィアはイスタンブールの歴史の象徴するような場所であり、イスタンブールを語る上では外せない場所でもあります。その理由はアヤソフィアの歴史を知れば分かります。
かつて現在のトルコの地は東ローマ帝国というキリスト教の帝国が支配していました。またの名をビザンツ帝国とも言います。
このアヤソフィアはビザンツ帝国時代の537年に創建されます。当時はギリシア正教の総本山はコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)でした。ちなみに当時対立していたローマ・カトリック教会の総本山はバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂です。
1453年にコンスタンティノープルは陥落し、その地がオスマン帝国によって支配されると、4本のミナレットが聖堂の周りに加えられ、イスラム教のモスクとして転用されます。
その後、トルコ共和国が成立し、無宗教の博物館として世界遺産に登録されました。
- キリスト教の聖堂
- イスラム教のモスク
- 無宗教の博物館
- 再びモスク化
という流れで、姿を変えていった歴史が非常に興味深いです。
美しいビザンティン様式とモザイク画
アヤソフィアはビザンティン建築としても有名です。内部はドーム状になっており、そこら中にモザイク画が点在するなど、ビザンツ帝国時代の痕跡が見受けられます。と同時に円盤状の装飾にはアラビア文字が描かれているため、キリスト教、イスラム教の融合が独特な雰囲気を醸し出しています。
モスクなのにキリスト教関連のモザイク画があるのは前述の歴史の通りです。
しかしイスラム教は偶像崇拝を禁じているので、イエスなどを目に見える形で描いてしまうことはタブーです。なのでオスマン帝国時代の大半は漆喰で覆い隠されていました。その後博物館となったアヤソフィアの修復作業の際にモザイク画が再び姿を現すことになります。
再び姿を現したモザイク画たちですが、アヤソフィアが再びモスクと化したため、礼拝時は布で覆い隠すなどの措置が取られているそうです
アクセス
最後に
2020年7月24日に再モスク化後初の集団礼拝が行われました。トルコって他のイスラム教の国と比べて、服装とかお酒とかに関して自由だったり、FIFAワールドカップの予選がヨーロッパ枠だったり、ユーロビジョン(ヨーロッパ人なら誰でも知ってるであろう欧州の歌謡祭)に参加してたりとヨーロッパと近しく、世俗主義的なイメージがあったのですが、改めてイスラム教の国なのだなと思い知らされました。